来住しげ樹のふるさと西脇市をめぐる

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2023年6月、私は画家 来住しげ樹氏のふるさとであり、活動の拠点である兵庫県西脇市を訪れました。(上記写真は「来住しげ樹 子どものアトリエ」)

兵庫県西脇市は、「日本のへそ」のまちの一つとして有名な街です。西脇市は、古くは播磨国(はりまのくに)と呼ばれた兵庫県南西部の北東端に位置しています。人口は4万4千人で、市内最高峰の西光寺山からは山々の向こうに播磨平野が、天候が良ければ瀬戸内海まで見渡すことができます。東西の陸路の要所として、東の京都と西野姫路を結ぶ役割を果たしていた。また加古川・杉原川が流れており川の流れに沿って町が栄えています。

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すぐ近所には、「機殿神社」が建立されています。市街中心地に近い童子山を背に、地場産業である播州織の発展を願い、播州織への感謝のしるしとして建立されたそうです。地元の人たちに愛されていて、特に近所の子どもたちの集合場所・遊び場所になっていました。毎年「織物感謝祭」が行われており、様々な神事も行われています。

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また、近隣には美術家 横尾忠則の「Y字路」シリーズに登場する名所もあります。現在は「黒い光(立体作品)」として、観光名所になっています。

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西脇市を代表する地場産業としては「播州織(ばんしゅうおり)」が挙げられます。西脇市は、江戸時代中期から播州織とともに発展を遂げてきました。

播州織の一番の特徴は、糸を先に染め、染め上った糸で柄を織る「先染織物」という手法です。播州織はその個性的な製法により、豊かな色彩と素晴らしい肌触りを実現し、シャツやハンカチなど、様々な製品に利用されています。

写真は、播州織を紹介・普段から使える播州織を販売している播州織工房館です。地元の人もが集まる場所でもあり、店員さんも人柄が良く、周辺の観光名所などの情報も教えていただけました。

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西脇市の街は、山間の中で川に沿って発展した歴史があるので、情緒ある小道が数多くありました。また現在ではかつての繁栄を感じさせる商店街の街並みも残っています。

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来住しげ樹氏は、画家活動を超え、書も多数残しています。地元の人が集まるお好み焼き・鉄板焼き屋さんの兵庫県西脇市西脇175にある「万喜」の題字も、来住しげ樹氏の作品です。

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お店の近所には、戎町公民館があり、すぐ近くには映画館「西脇銀映」跡の建物も残っていました。かつてこの場所が町の中心的な場所であったことをうかがわせます。

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そして、市内を流れる杉原川のほとりには、和菓子の老舗「住吉屋」があります。このお店の包装紙は、美術家 横尾忠則がデザインしたことで有名です。昔ながらの製法で作られた和菓子の数々は、とてもみずみずしくて素朴で美味しくいただけました。

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住吉屋のすぐ裏手、町の中心を流れる川の一つ、杉原川。杉原川はかつての播州織の繁栄の象徴でもあり、来住しげ樹氏の作品のモチーフになっている川でもあります。来住しげ樹氏は西脇市を愛し、身近にある景色を題材に選んでいます。西脇市をはじめ、日本国内の素朴な風景が、数多くのスケッチ作品として残っています。本サイトの作品を見ながら、元になった風景・空気感を想像するのも、楽しみ方の一つではないかと思います。

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山間部のアトリエには、大量の資料とコレクション、作品の数々が現在でも保存されています。書籍についても図鑑のような網羅的なものから学術書のような専門的なものまで幅広く収蔵されており、来住しげ樹氏の教養の深さを感じることができます。

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また、来住しげ樹氏のアトリエには、陶板のための設備・作品も多数あり、画家に限らず多岐にわたる制作活動が行われていました。来住しげ樹氏の精神的多様性と美術に対する挑戦を感じる空間でした。

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今回の訪問の最後に…来住しげ樹氏の息子さんである来住由樹氏との記念撮影をさせていただきました。お二人とも愛情深く、私自身も楽しく過ごすことが出来ました。とても貴重な体験として、いつまでも大切にしたいと思います。

2023年6月20日
津田 征治